「手元の写真しかないのですが、大丈夫でしょうか」。ご相談のなかで、いちばん多くいただく質問です。
結論から申し上げると、ほとんどの場合は大丈夫です。掲載する大きさと並べ方で、写真の見え方は大きく変わるからです。そのうえで、撮り直せるのであれば、次の3つだけを意識してみてください。カメラを買い替えるより、確実に効きます。
1. 光は、正面から当てない
いちばん多い失敗が、正面からの照明です。作品の真正面から光を当てると、凹凸が消えます。陶芸の釉薬の流れも、油彩の絵肌も、和紙の繊維も、すべて平らに写ります。
光は、斜め前から当ててください。目安として、作品に対して45度くらいの角度です。窓からの自然光であれば、作品を窓の正面に置くのではなく、窓を横に見る位置に置きます。影が少し出るくらいがちょうどよく、その影が質感になります。
直射日光は避けてください。曇りの日の窓辺が、実はいちばん扱いやすい光です。
2. 背景は、色より「無地」
背景に何色を使うかで悩まれる方が多いのですが、色よりも「均一であること」のほうが効きます。木目や布のしわが写り込むと、そちらに目がいきます。
白い壁、あるいは大きめの画用紙を1枚。それだけで十分です。作品と背景の距離を少し離すと、背景に落ちる影が薄くなり、輪郭が締まります。
立体作品の場合は、背景の紙を後ろから手前へゆるやかに垂らして、床と壁の境目の線を消すと、それだけで印象が変わります。
3. 近づかず、離れて、寄る
スマートフォンのレンズは広角です。近づいて撮ると、手前が大きく、奥が小さく歪みます。器の口が楕円に見えたり、額装した絵の四辺が台形になったりするのは、これが原因です。
作品から一歩下がって、その代わりにズームで寄ってください。歪みが減り、実物に近い形で写ります。
そして、手ぶれを避けてください。暗い場所では、スマートフォンは自動的にシャッターを長く開けます。壁に肘をつけるだけでも違います。
撮ったあと、どうするか
明るさやコントラストを大きく変えるのは、おすすめしません。実物と色が変わると、会場でご覧になった方が違和感を覚えます。作品の色は、作品の一部です。
もうひとつ、ファイルサイズには注意してください。最近のスマートフォンで撮った写真は、1枚で数メガバイトになります。そのままサイトに載せると、開くまでに時間がかかります。
Google が公開している指標では、ページの主要な画像が表示されるまでの時間(Largest Contentful Paint)は、2.5 秒以内が「良好」とされています(web.dev「Largest Contentful Paint (LCP)」)。作品を大きく見せたいサイトほど、ここは無視できません。
私たちが制作する場合は、表示する大きさごとに最適な画像を出し分ける処理を入れます。画質を落とさずに軽くするためです。ご自身で作られる場合も、掲載前に長辺 2000 ピクセル程度に縮小しておくと、体感は大きく変わります。
それでも難しいときは
撮影のご相談も承ります。すべてを撮り直す必要はほとんどありません。実際には、数点だけ撮り直せば全体が整うことが多いのです。
まずは、いま手元にある写真のままお送りください。使える形に整える方法から、ご提案します。
関連するページ
- 陶芸家・工芸作家のホームページ制作 — 器の質感を、写真でどう立たせるか
- 個展のウェブサイトには、結局なにを載せれば足りるのか
- ホームページ制作・個展サイトの流れ — 写真の準備は、どの段階で必要になるか